楽しい出来事が認知症の予防になることがあります
有料老人ホームから病院へ検査に
現在91歳の女性のTさんは、少し古くなった住宅型有料老人ホームにご入居になっていました。結婚はせず工場の事務員の仕事と株で財産を築いてきた人で、聡明な方でした。
その方は最初、特に認知症のような症状はなく施設で新聞を読んだりして過ごしていました。話しかけると、全く普通の会話ができました。ただ、その施設には話し相手がいなくて、いつもお部屋にこもっているようでした。
ところがある日、散歩に行った時に転倒してしまい脚の付け根の所を骨折してしまいました。病院に様子を見に行きますと、「痛い痛い」と言っていて、しきりに転んだ時のことや病院での様子を話してくれました。
リハビリの病院から新たな有料老人ホームへ
その後、リハビリの病院へ転院しました。そこはまだ新しい所だったので、気に入ったらしく退院したら今いる老朽化した施設ではなく、もっと新しくてきれいな施設に行きたいという強いご希望がありました。
そこでご希望に添うような所を紹介し、退院後は新しい住宅型有料老人ホームにご入居することになりました。入った時にはきれいだし外の景色もいいし、料理も美味しいし、ヘルパーさんも良くしてくれると、とても喜んでいました。
施設が変わって認知症の初期症状が?
ところが新しい施設に入ってから、どうも話すことがあやふやになってきました。
お風呂のことを聞いてみますと、「ここへ来てから、1回も入っていない。」と言うのです。ヘルパーさんに聞いてみますと、確かに何回も入っているとのお答えでした。記録もとちゃんと残っていました。
また、「ここがどこだかわからない」とも言います。ご老人は周りの環境が急に大きく変わってしまうと、混乱してしまうことが良くあると聞いています。この数か月の間に長くいた前の施設から、急に症状が出てくるいわゆる急性期の治療するための病院に行き、そこからリハビリの病院へ行き、それから新しい施設へと、3回も変わったのでした。
ただ身の回りの物は、今までの物ばかりです。前の家具等は新しい所にそぐわなかったのですが、買い替えなくて良かったかなと思いました。それと昔から使っていたラジオを聞くようになりました。それと今までの転居のことをくり返し説明をしました。
老人は急激な環境の変化に注意
それから、デイサービスに行っていただきました。最初は気が進まなかったようですが、行くようになってそこで親しい友人ができたようなのです。
話を聞くと、楽しいと言います。スタッフの方からは、積極的に行事に参加されているとのことでした。
その頃から、Tさんは少しずつ変わってきました。変わったというよりも、以前のTさんに戻ったという方が正しいでしょうか。今は混乱もなくなり、以前のように普通に会話ができるようになりました。
やはりご老人の場合は、急激な環境の変化にはついていけないことがあるので、気をつけたいものです。
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